第四話「天才料理人シロ 降伏したベジタ村」
5章 料理鬥爭杯篇
「お前達、これ以上抵抗すれば村が壊滅するぞ。このバ……男は手加減をしらんからな」
エディムが宣言する。
確かにオルティッシオの力は凄まじい。
ギガンド様を始め村の並みいる戦士達を軽々と倒したのだ。オルティッシオは、獣人族最強である現族長のベジタブル様より力は上かもしれない。
オルティッシオに逆らえば、村は壊滅する。それは村の住人全てが痛感しているだろう。
ただ、村人達は全員無言だ。
オルティッシオ達の問いに応えず、顔を俯かせじっとしている。
當然だ。
強者こそ正義!
狼フェンリル族の掟である。
オルティッシオが人族であろうとそれは関係ない。普通の降伏勧告であれば、絶対的強者のオルティッシオに従うのもやぶさかではないのだ。
だが、オルティッシオの物言いがあまりに酷すぎる。
誇り高き戦士、狼フェンリル族を家畜呼ばわりするのだ。
下くだるだけであれば、まだ納得できる。オルティッシオの下であろうとも、戦いを満喫できればよい。
家畜呼ばわりの奴隷扱い。戦士として扱われないのは、狼フェンリル族の沽券に関わるのだ。
「返事はどうした?」
「……」
村人達は、答えない。
肩をプルプル震わせ怒りを表している者も多くいる。だが、行動に移せない。逆らえば殺されるとわかっているから必死に耐えている。
絶対的強者に刃向う気はない。でも、おいそれと家畜になる気もない。
中途半端な狀態である。
「……応えんか。もったいなくも邪神軍の奴隷として働かせてやると、貴様らのような屑に慈悲を與えてやったというのに」
オルティッシオが苛つき周囲を見渡す。
皆、応えない。
下を向いてうつむいている。
「ふぅ~無禮千萬だな。殺すか」
一呼吸をし、オルティッシオがギロリと睨む。
「ひ、ひぃ!」
思わず悲鳴が出てしまった。
お、恐ろしいほどの殺気……。
その眼光に村の屈強な戦士も含め、全員が恐怖に打ち震えていた。
このオルティッシオの覇気に比べれば、ギガント様の怒気など子供の癇癪かんしゃく程度に思えてしまう。
僕は水分を取ってなかったから助かったけど、中には失禁をしている者もいるだろう。
「オルティッシオ様、落ち著いてください」
エディムが怒れるオルティッシオの間に入ってきた。
「エディム、なぜ止める!」
「オルティッシオ様、少しは學習してください。何度村を壊滅させたら気が済むん……(內容加載失敗!請重載或更換瀏覽器)