第五話「天才料理人シロ 料理を試される」
5章 料理鬥爭杯篇
ベジタ村が降伏して三日が過ぎた。
皆、目は虛ろで生ける屍となっている。
これまで狼フェンリル族は、戦に負けても全面降伏した事はなかった。局地戦で負けても、ここぞという勝負では負けなかったからだ。
今は違う。
オルティッシオの圧倒的暴力にひれ伏している。
皆、一様に不安が顔に滲にじみでていた。オルティッシオは、村の皆を家畜と侮蔑し、戦士として扱わない。クワを持って、ひたすら田畑を耕せと言う。
まさに奴隷。
まぁ、僕はもともと奴隷も同然な待遇だった。上で命令する者が代わろうと、それは変わらない。
腕力に劣る僕は、畑仕事もろくにできない。
オルティッシオ達の體力検査で早々に弾かれてしまった。
僕は、いつもどおり皆の料理を作っていればいいのだ。戦がない分、少しだけ気が楽かもしれない。
いつもの日常が始まる。
さて、まずは食材の調達だ。山菜を取りに行こう。
リュックを背負って、村の外れの山に入る。
途中、オルティッシオを見た。
オルティッシオは村の中央にある高台に陣取り、皆を監督している。
厳しい目つきだ。
「働け、働け、家畜共! 休みたいとかサボりたいとか抜かしてみろ。その時は死ね。腹をかっさばき、死んでティレア様にお詫びをするのだ」
オルティッシオが唾をまき散らしながら激を飛ばしている。
凄い……。
今まで族長以下理不盡な命令をいくつも聞いてきたが、オルティッシオの命令ほど凄まじいものはない。
彼らはかれこれもう十時間以上は、クワを振っているのだ。ご飯も食べず、少量の水を飲むことのみ許される。
いくら村の戦士達が屈強とはいえ、限度があるだろうに。
稲一粒でも多く収穫させる。
鬼オルティッシオの言葉だ。
このオルティッシオを従えるティレアとは、いったいどんな化け物なのだ?
きっと力と破壊の権化のような怪物だろう。
うぅ、恐ろしい。
想像しただけで身震いしてくる。
まぁ、僕には関係のない話か。
ギガント様よりベジタブル様よりオルティッシオより上の化け物なんかとかかわることなんてないだろう。
あぁ、怖い怖い。
首を振ってその場を通り過ぎようとすると、
「やってられっかぁあ!」
ベジタ村の戦士アジャがクワを地面に叩きつけて不満をぶつけた。
アジャは、牙を剝きだしにして憤慨している。
それもそうだろう。
アジャは略奪は大好きだが、こういう地味な作業を極端に……(內容加載失敗!請重載或更換瀏覽器)