第六話「天才料理人シロ ベジタ村の族長になる」
5章 料理鬥爭杯篇
ジャシン軍へ降伏してから一週間が過ぎた。
皆、疲れた顔をしているが、否が応でも明日はやってくる。
いつまでも族長不在では狼フェンリル族の士気に影響する、ということで新しい族長が決まった。
族長はギウだ。
村の屈強な戦士が軒並み殺され、中堅に位置していたギウが就任するしかなかったのだ。
ギウは村の総意を得るや、すぐにオルティッシオに族長決定を報告する。
「ふん、族長だと? 家畜の分際で生意気だな」
オルティッシオは、肩肘をついてめんどくさそうに相手をしていた。
「は、はい。ギウと申します。どうかオルティッシオ様に族長就任をお認めいただきたく參上に參りました」
ギウは、地面に頭をこすりつけ土下座をする。
族長以下他の戦士達も土下座をした。
僕も同じ位置で土下座をしている。
本來、村のミソッカスである僕の身分ではありえないことだ。
ベジタ村の身分制度では、【族長】→【副族長】→【幹部戦士】→【強戦士】→【中戦士】→【(小)戦士】→【準戦士】→【見習い戦士】と続く。
最初は、【見習い戦士】から始まる。試練をクリアしていくごとに身分が上がっていくのだ。
僕は、岩石を十メートルほど動かすという最初の試練で挫折した。小さな子供と同じ【見習い戦士】の身分である。
そして、その【見習い戦士】の中でも上中下と序列がある。僕はずっと一番下のままだ。
【見習い戦士】は族長の屋敷に入れない。
ほとんどの場所が、土足厳禁で裸足だ。さらに言えば、こういう族長就任の集會には絶対に呼ばれない。
【強戦士】以上の身分の者が集まり協議するのが通例なのだ。
なのになぜか呼ばれている。
それもほぼ上座だ。
この位置ってどう見ても【幹部戦士】の身分にあたるのに。
皆、殺気を込めて僕を睨んでいる。
なんでここにミソッカスがいるんだと。
族長就任という大切な儀式に、のこのこミソッカスが現れて、戦士を侮辱していると怒っているのだ。
僕だってわからないよ。
なぜかギルさんの同僚が僕を連れてきたのだ。
理由を聞いてもギル副長の命令としか答えてくれない。
文句は、ギルさんに言って欲しいのに……。
ただ、ギルさんの同僚が僕にいつもはりついてくれている。だから、にらんではきても、直接危害を加えることはなかった。
はぁ~早く終わらないかなぁ。
土下座をした後、ギウがオルティッシオにいかに自分が優れ……(內容加載失敗!請重載或更換瀏覽器)