第七話「天才料理人シロ 地下帝國に到著する」

5章 料理鬥爭杯篇

僕は、ベジタ村のシロ。

長年【見習い戦士】のミソッカス。

村の子供にも腕力で負ける僕は、一番下の【見習い戦士】だ。

それが今や……。

僕は、狼フェンリル族の第二十四代【族長】に就任してしまったのだ。

獣人族に伝わる十五の試練無しで、異例の大出世である。

前代未聞の話で周囲からの妬みがすごかった。

皆、殺さんばかりに僕をにらみつけてくる。特に、【副族長】のガウなんて闇討ちをしかけてきたほどだ。

幸いギルさんが近くにいて、返り討ちにしてくれたから助かったけど……。

次、獨りでいたら絶対に殺される。

はぁ~ため息が出てしまう。

族長やめたい。

腕にはめてある【族長】の腕輪を見る。

赤黒く、不気味に光っていた。

この腕輪は、代々の【族長】の血と汗が染みこんだ戦士の証である。こんな由緒ある逸品に対し、僕の細腕ではあまりに不釣り合いだ。

そもそも狼フェンリル族の【族長】は、たえず戦場に出て武勇を示し続けなければならない。それが戦闘民族としての矜持だ。

肩書だけとはいえ、僕は【族長】である。少なくとも、一回は戦地に出て敵將の首を取る必要があるだろう。

刀を持って人を斬りつける……無理、絶対に無理。

想像できる。

震える手で刀を持った僕は、棒立ちのまま動けない。そこを雄叫びを上げて襲ってきた敵になすがまま切り殺されてしまう。

はぁ~もう一度、ため息が出てしまった。


「シロどうした?」

「あ、ギル様……」


王都行きの馬車の中、向かいに座っているギルさんが、話しかけてきた。


「そろそろ王都に著く。何か悩みがあるなら今のうちに話せ」

「い、いえ、悩みなんて……」

「遠慮するでない」

「で、でも……」


ギルさんは気さくに言ってくれる。

でも、こんな悩みを話して大丈夫だろうか?

族長就任は、ジャシン軍の決定だ。異議を唱えたら不敬になるかもしれない。


「お前には、この後大仕事が待っている。少しでも懸念事項があるなら言え。力になってやる」

「わかりました」


そうだね、不安を抱えたままびくびく仕事をしてたら、ティレアに殺されるかもしれない。

ギルさんは、いきなり毆るような野蠻な奴じゃない。

何より頼りになる。


「ギル様、実は――」


ギルさんの力強い言葉に後押しされた。僕は族長としての仕事に大いに不安があると伝えたのである。

ギルさんは、腕を組み僕の話を聞いていた。

そし……(內容加載失敗!請重載或更換瀏覽器)

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