第七話「天才料理人シロ 地下帝國に到著する」(2/2)
5章 料理鬥爭杯篇
おばあちゃん、見ててね。
おばあちゃん……。
唯一殘念なのは、おばあちゃんのお墓に行けなくなったことだ。辛い時、悲しい時、おばあちゃんのお墓に行って泣いていた。
それがもうできなくなる。
物悲しい気持ちになってきた。
ううん、大丈夫。
僕には、おばあちゃんが教えてくれた料理がある。料理を通じて、おばあちゃんを見ればいい。
★ ☆ ★ ☆
王都に到著した。
すごい。
人、人、人……人がいっぱいいる。
それに建物があんなにいっぱいひしめき合っている。
僕は、生まれてから一度も村を出たことがない。
見るもの聞くものすべてが新鮮だった。
きょろきょろと辺りを見渡しながら、ギルさんの後をついていく。
ギルさんは、途中王都の市場や鍛冶屋などを案內してくれた。今後、王都に住む以上色々覚えておくようにとのことだ。
市場では、豊富な魚介類、三陸の海の幸が多く水揚げされていた。他にも大陸から新鮮な野菜、海産物の他にも雑貨や洋服なども売り買いされている。
鍛冶屋では、カンカンと熱い鉄を叩き、剣や斧などを作っていた。もちろん料理に使うフライパンや包丁などもある。
楽しい。
生まれて初めて見る街並みだ。人の営みや活気を感じる。
村では奴隷のように扱われ、無我夢中で料理をする以外なかった。
これが観光ってやつなのかな?
自然と尻尾がパタパタと揺れ動くのを感じる。
「ふっ、シロ、浮かれるのはわかるが、気を抜かれては困るぞ」
「は、はい、申し訳ございません!」
ギルさんに窘められた。
そうだ。何を勘違いしていたのだ。
これから僕は、暴君オルティッシオが畏怖するティレアに仕えなければならないのだ。
あのオルティッシオの主君なのだ。どんな理不盡な命令を受けるかわからない。
気を抜いて無禮を働けば、即座に殺されるだろう。
気を引き締めないと。
怒らせないように、不愉快な言動は慎むように。
弱者は、強者の機嫌を常に意識しないといけない。
浮ついていた感情を靜め、心に鍵をかける。
大丈夫、これでいい。
村にいたときと同じだ。感情を殺せば、僕は生きていける。
ギルさんの案內でひととおりの建物を教えてもらった後、最後にジャシン軍の拠點に行くことになった。
ここで僕は、毎日寢泊まりをして料理を作るのが仕事らしい。
僕の寢床、どんな感じなんだろう?
村では雨漏りがひどく、すきま風がビュービュ……(內容加載失敗!請重載或更換瀏覽器)