第八話「天才料理人シロ 暴帝ティレアと會う」
5章 料理鬥爭杯篇
僕は、人族の料理人を初めて見る。
どんな料理人なんだろう?
王都に向かう馬車の中でギルさんに詳しい話を聞いた。
もともとこのジャシン軍の御飯はティレアが作ってたらしい。
最初、トップが御飯を作るなんて想像できなかった。たいていそういうのは下っ端の役目だ。
ただティレアの趣味が料理らしく、そういうこともあるのかな、とある程度納得した。
人族の風習はよくわからない。
そして、いつもティレアからご飯を振舞われて部下達は恐縮していたらしいね。
トップのお手を煩わせて申し訳ないって。
自分達で作るって言ってたようだけど、ティレアがそれを許さなかったらしい。素人が料理を作れば、食材を無駄にしてもったいないからだって。
そこで部下達は考えた。
それならプロの料理人を連れてくればよい。
早速、軍議が開かれ、各々で優秀な料理人を集めることになったとか。
ティレアのお眼鏡に適う一番優秀な料理人を連れてきた者に今月の【ジャシン栄譽賞】を授けるみたいだ。
そういえば、オルティッシオが凄い剣幕で「死んでも勝てッ!」って脅してきた。
よほどその賞が欲しいのだろう。
他のジャシン軍の幹部達も同じらしい。
その褒章目當てに有能な料理人を連れてきているとか。有名料理店を切り盛りしている料理長とか、人族が大金を払ってまで食べにきている売れっ子料理人達だそうだ。
この人達がその凄腕料理人……。
緊張しながらもペコリとお辭儀する。
「あ、あのよろしく。ベジタ村出身、狼フェンリル族、族長・・のシロと申します」
ミソッカスの僕が族長と名乗りを上げ、挨拶をした。
ガウが聞いたら目を見開き、毆り殺していただろう。
「おい、なんで獣人がいるんだ?」
「えっ!? あ、あの……」
人族の料理人達は、【族長】という言葉にかけらも興味を示さなかった。
これが獣人だったら、まずはどの程度の強さか値踏みするように威圧してくるのに。
はは、ギルさんの言う通りだ。ここでは【族長】なんて何も意味をなさない。
獣人の風習とは異なるのだ。
「お前、料理できるのか?」
動揺し二の句が告げないでいると、一人の料理人が質問をしてきた。
目つきが鋭く、威圧的な人に見える。
「おい、聞いているのか?」
「ご、ごめんなさい。はい、一応できます」
「ふぅん、じゃあランクは?」
「ランク? え、えっと、それはどういう意味で……(內容加載失敗!請重載或更換瀏覽器)