第九話「ティレアの至高のメニュー作り 壱」
5章 料理鬥爭杯篇
本日、料理屋ベルムは定休日である。
料理の仕込みもない。
いつもであれば、邪神軍地下帝國の廚房にいる。
日頃お世話になっている皆にお禮の意味で、ご飯を作ってあげていた。
お世話になっている?
お世話しているの間違いだろ?
とつっこむかもしれない。
だがしかし、だがしかしだ。
この地下帝國は、オル父の所有物だ。それを長期に渡り無料で使わせてもらっている。まともに家賃を払ってたら、とんでもない額になってたよ。
さらに言えば、料理屋ベルムは開店資金から材料費まで、多額の資金をオル家から援助してもらっている。
料理屋の経営だけじゃない。奴隷騒動やオークション等、トータルで考えたら、俺のために軽く【億】を越える額を使わせてもらった。
普通に頭が上がらない。
もちろんオル家だけでないよ。軍団員達には、妹のティムがとても仲良くしてもらっている。
カミーラ様、カミーラ様と慕ってくれるのは、多少思う所もあるが、それを差し引いたとしてもだ。
妹が見知らぬ土地で頑張れたのも、気心が知れた仲間がいたおかげである。
ティムが悪役令嬢のエリザベスともめた際には、命懸けで戦ってくれた。
照れくさくて本人達の前では言わないけど、彼らには感謝しているのだ。
中二病で困らせる時もあるけど、大切な仲間だ。
だから、ご飯ぐらい作らせてってね。
それなのに……。
今日は、俺の代わりに軍団員達が料理をしてくれるらしい。
以前「素人が料理するもんじゃありません。食材の無駄でしょ」って注意したことがあった。それから俺が料理するのに何も文句は言わなかった彼らが、今日はなぜかしつこかった。
「ティレア様のお手を煩わせない。ティレア様の舌をご満足いただける食事を提供できます」って自信満々に言い放つのだ。
オルはもちろんドリュアス君や変態ニールゼン、軍団幹部達が、一同揃ってそんな感じだった。
お前ら、なかなか言うじゃない?
俺の代わりに料理をするって、どういう意味かわかってる?
それって、俺以上の料理を作れるって言っているようなものだよ。
あまりプロの料理人を舐めてもらったら困る。
とまぁ、むむむってところもあったが……時間とともに、徐々に考えを改めた。
あまりじゃけんにしても彼らが可哀想だ。
俺一人で料理をするのは大変だと、俺のためを思って行動してくれたのだ。
料理人の矜持も大切だけど、今……(內容加載失敗!請重載或更換瀏覽器)